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【転スラ】漫画102話『各国と招待状』のネタバレ解説
その情報は、隠していても伝わるものだ。
ジュラの大森林周辺諸国の首脳部の耳に、噂という形を取って届けられる。
――聖人ヒナタが魔王リムルに敗北した、と。
伝わった噂とは別に、正式なルートからも情報が届く。
神聖法皇国ルベリオスと、ジュラ・テンペスト連邦国との休戦協定。
そして、不可侵条約が締結されたという事実。
そうした情報が錯綜する中、噂の中心である魔王リムルから、招待状が届いたのだ。
ブルムンド王国
ミョルマイルの商館

ブルムンド王国にある商館にて、ミョルマイルはいつ終わるとも知れぬ面会者の相手にうんざりしていた。
大商人であるミョルマイルには、対応する相手の人間性が一目でわかる。
入って来たのは身なりのいい男。
だが、ミョルマイルの目は誤魔化せない。衣服の生地はそれなりの質だが、その方は古い。流行りの服を仕立てられず、型落ちを見栄え良く着込んでいるだけの、落ちぶれかけの貴族である。

「ああ、面倒だわい。また気の抜けない化かし合いが始まるぞ・・・」
話しを聞いてウンザリするミョルマイル。
それはやはり、ろくでもない内容だった。
奴隷を使って新しい店を開くから金を融資させてやろう、というものだった。
それもエルフの奴隷・・・
ミョルマイルは何とかしてカザック子爵からの要求を断らねばと、上手い言い訳を考えていた。
その時――
「いよーーっす!元気だったかね?ミョルマイル君!」
打ち合わせの最中だと言うのに、扉を開いて入って来る者がいた。

カザック子爵の声を遠くに聞きながら、ミョルマイルは乱入者の正体に気付き仰天する。

驚いてたミョルマイルだが、リムルのその声で我に返った。
魔王に向かって「無礼であろうが!」などと叫んでしまったカザック子爵を見て、何だか可哀そうに見えてしまう。
(もしもリムルの旦那が暢気な性格をしてなければ・・・今頃コイツは、この世にはいないだろうな・・・)ミョルマイルそう思った。
そんなミョルマイルの気も知らず、カザック子爵は更に声を荒らげる。
「おい、小僧。いや小娘か?もしかして貴様は、そこのミョルマイルの情婦なのか?勝手に中まで入ってきて盗み聞きをした上に商談を邪魔するなどと、この責任をどう取るすもりだ?」
(コヤツ!?リムルの旦那に対して何ちゅう事を――)ミョルマイルは生きた心地がしない。
「そいつはどうも、失礼しました。いやいや、誰にも止められなかったもので、本当、スミマセン」
などとリムルは調子良く謝っている。
それなのにカザック子爵は居丈高に許そうとしない。
「ほう、貴様の顔はまあまあだな。礼儀は大切なもの故、何ならこの我輩が面倒を見てやってもいいぞ?」
これにはミョルマイルも、呆れるのを通り越して怒りを覚えた。
(何でワシ、こんな小者に舐められとるんだろ・・・?)
自分が下に見られるだけならまだしも、大恩あるリムルの事を侮辱したのは許せない。

「おいカザック、ワシの恩人に無礼を働いておるのは貴様の方よ。たかが子爵の分際で、このワシを怒らせるつもりか?」
「貴様との取引はこれまでにさせてもらおう。今後一切、ワシに頼るでないわ!」
「お、おい、ミョルマイル君?あの人を怒らせちゃったみたいだけど、大丈夫なの?」
怒りに燃えるミョルマイルに、暢気な声をかけるリムル。
(ああ、やはりこの人は大物だ。魔王になったと聞いた時も思ったが、この人は本当に変わらんわい――)
そしてミョルマイルのウンザリする日々は終わりを告げ、新たな転機が訪れる。
ミョルマイルの館
ミョルマイルに案内されて、彼の館へと向かった。
「いやあ、仕事の邪魔をしちゃったみたいで、何だか悪いね」
と言うと、ミョルマイルは苦笑した。
「いやいや、リムルの旦那。あんなクソ野郎とは手を切りたいと思っておったのですよ。貴族だからと、毎度毎度厄介な案件を持ち込まれておりましてな・・・」
「だけど、貴族に目を付けられたら大変なんじゃないの?」
「それはそうなのですが、今度の案件は奴隷を扱いたいとか申しておりました。しかもエルフだそうで・・・」
「なーに、これでもワシも暗黒街のドンと呼ばれた男。リムルの旦那に心配してもらわんでも、自分の力で何とかして見せますとも!」
「それでリムルの旦那、今日はどのような用件で?」
そう問われて、ここに来た理由を思い出す。
そして、
「いや、何。また一つ、お仕事を依頼したいと思ってね。なーに、ミョルマイル君にとっては容易い事だと思う」
『テンペスト開国祭』の主催側に回ってほしいと。
国としての祭りの目玉が欲しいと・・・
瞬時にミョルマイルは理解する。
・何度でも来たいと思わせる興行を考える事
・開国祭にかかる資金の調達及び、予算の管理
といった所ですかな?
「さすがミョルマイル君切れすぎて怖いくらいだ」
「いやぁリムルの旦那には敵いませんとも」

小説8巻挿絵
リムルとミョルマイル

武装国家ドワルゴン

人類最強と称される聖騎士団百余名が、秘密裏に魔物の国へと強襲を仕掛けた。
ガゼル自慢のアンリエッタ率いる暗部でさえも、戦闘が勃発して、初めて気づけたほどだった。
結果、聖騎士団は敗北。
魔王リムル側は、一人の死傷者も出さずに勝利した。
聖人ヒナタと魔王リムルの一騎打ちの決着をその目で確認した訳ではないが、西方聖教会が教義を覆したり、ドワーフ王国への対応など状況証拠で結論付けた。

聖人ヒナタと剣聖ガゼルの力は互角。
もしもヒナタが敗北したなら、それはつまり、魔王リムルが英雄王ガゼルよりも強くなったという事である。
そして、その考えにガゼルも同意する。
この前会った時にも感じたが、魔王となったリムルの雰囲気は不気味だった。
凄まじい力を感じるとかそんな事はなく、寧ろ、凪のように何も感じなかったのだ。
他者の思考すらも見通すガゼルの力――ユニークスキル『独裁者(ウエニタツモノ)』を以てしても、何も見通すことが出来なかったのである。
リムルやその配下達の力、テンペストの武力を脅威に感じ、心配をする大臣達。
危険だ何だと騒ぐ大臣達の言葉、それに反対する大臣達の言葉。
どちらも正解なのだろう。
ガゼルは王者としての覇気を込めて、大臣達を威圧する。
「静まれい」
「心配するでないわ!あのリムルは余の弟弟子であるぞ。それに、だ。他国に先んじて魔国連邦(テンペスト)の後ろ盾となった我々こそが、もっとも信用を勝ち得ていると言えよう。その利を捨て、リムルを疑えと申すつもりか?」

「天使どもが攻めてくるなら共に戦うだけよ――なあ兄弟・・・」
ひと段落着いたところで、大臣の一人がガゼルに伝える。
リグルド殿から招待状が来ていると「魔王就任のお披露目」

魔導王朝サリオン
魔導王朝サリオン、皇帝の居城にて。
美しく見事な庭園が広がり、野生では希少な生き物が自然のままに生息している。
庭園を維持するのは、皇帝の私財。一切の税金が使用されていなかった。
それこそが魔導王朝サリオンの頂点に立つ皇帝の、想像を絶する財力を証明している。
その庭園にて、二人の人物が寛いでいた。
一人はエラルド公爵。
冒険者エレンの父親であり、この国の重鎮。三本の指に入る実力者である。
その対面に座る人物。
その人物こそ、エラルド公爵の上に立つこの国で唯一無二の存在。
皇帝――エルメシア・エル・リュ・サリオン、その人である。
小説8巻挿絵
エルメシア・エル・リュ・サリオン

年齢は不詳。
耳長族(エルフ)の中でも純潔の血が色濃く表れ、年を取らない。
歴史の生き証人でもあり、そんな皇帝に対して年齢を問う事は禁忌(タブー)とされている。
その見た目は高貴ではあるが、若々しさも失われていない。寧ろ小柄な体格から、少女と間違われる事もあるほどだ。
切れ長の眼差し。
翡翠の瞳は、全てを見透かすよう。
みずみずしいその素肌。
その色は、新雪のように真っ白である。
長く伸ばされた銀髪がサラサラと流れて、その薄紅色の頬にかかっていた。
その銀髪からは、特徴的な先端の尖った耳長が覗いている。
完全なる調和の体現者。
真なるエルフ――風精人(ハイエルフ)と呼ばれる至高の存在であった。
エラルド・グリムワルト
テンペストからの魔王お披露目の招待状は皇帝ではなくエラルドのもとへ届いていた。
エラルドは憂鬱だった。
前回、テンペストへ赴いた際、まだ安全か定かではなかった魔物の国へ皇帝をお連れするわけにもいかないので、会談の結果を事後報告で伝えたのだが・・・
さんざんと嫌味を言われてしまった。
「陛下、この度、先だって報告致しました魔物の国より、私めに招待状が届きまして御座います」

エラルドは、なんとか開国祭は諦めてもらって、かつ機嫌を直してもらおうと思っていた。
それを察したのか、エルメシアはイングラシアに菓子店を構える異世界人の吉田氏の話を始めた。
最近、急激に品質が向上した事。
エレンが常連である事。
移転の話し。
エルメシアが開国祭に行きたいと言えばエラルドにはそれを断る事は出来ない。
しかし事はそう簡単ではないのだ・・・

しかし王家の者は曲者揃いだった。
役職に就かず自領に引き篭もる王も居れば、立場を利用して好き放題に国政に携わろうとする者もいる。
皇帝エルメシアが行政に口を出さないのを良い事に、自国の権勢を増そうと考える者もいる訳だ。
外遊を機に皇帝を廃そうと企む輩がいても何ら不思議ではないのだ。
「心配し過ぎよ、エラルドちゃん」

エルメシアの雰囲気が変わった。
支配者としての、それ。
ただの一度も反乱を許した事のない、絶対君主としての貌を覗かせる皇帝エルメシア。
「やはり格が違う――何千年も生きるこの方からすれば王家の者など――この私でも子供にしか見えぬのだろう」
「あの魔王、リムルと言ったわねえ。油断出来ない相手よ」
サリオンとテンペストを結ぶ街道の話しになる――
通行税などの権利は要求されたが、施工からその費用まで全て負担してくれると・・・

しかしエルメシアは長命種の魔王相手の交渉としては80点と・・・
もっと考えないと駄目だとエラルドに言った。
「吉田氏の店の事や、街道整備の事をみても分かるように、魔王リムルは人間社会を熟知している。そして、たった数年でその知識と経験を最大限に利用出来る得た」

「他の選択肢など、最初からないのよ」
皇帝エルメシアの選択は為された。
エラルドとしても文句はない。
ただし、気がかりな点があった。

事もなげにエルメシアが告げるが、エラルドは冷や汗が出る思いだ。
魔法士団(メイガス)というのは、〝純潔の騎士〟とも呼ばれる高位武官の集団である。
調停者の資格を有する、皇帝の全権代理人。古き血に先祖返りした者のみで構成された、魔導王朝サリオンの最高戦力――
ちなみにエラルドもその一人である。
他国に厳に秘している存在を、出し惜しみせずに動かせを皇帝は命じた。その事を、エラルドは重く受け止めた。
「――承知、致しました。ではそのように手配致します」
皇帝の外遊が決定し、その事が大々的に国内で報じられた。
【転スラ】漫画102話『各国と招待状』の感想

シュナと吉田さんの料理対決
ヴェルドラの出店の件
ラーメン店やファーストフード店展開計画の話し
など所々端折ってますが(次回以降で入れてくるのかな・・・)、違和感なく、よく纏まってるなと思いました。
開国祭目玉の打ち合わせの武闘大会の話しは次回以降でしょうかね。
次回も楽しみですね♪
【次回】漫画103話『迷宮妖精』
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